格安で購入できたCFD販売 DDR4-3200のOCメモリ「W4U3200CX1-16G」をRyzen7 2700XのPCに装着し、動作検証してみた。
OCメモリということもあり、XMPプロファイルの扱いも初めてだったが、思いのほかトラブルもなくすんなりと起動してしまい、最終的にはDDR4-3400でも問題なく動作した。
せっかくなので、各種ベンチマークでメモリクロックを変化させた場合の性能を検証してみた。
Ryzen7 2700XのPCを組んだときは、メモリ価格が高騰していた2018年代で、高価なOC(オーバークロック)メモリにまったく手が出せなかった。
とは言いながらも、Ryzen7 2700Xはメモリクロックに性能が左右されるのも様々なレビューを見てなんとなく知っていた。悩んだ末、DDR4-2666 2枚組16GBの最安値メモリで踏ん張った。
しかし、時代は2020年。メモリ価格は暴落し、暗黒時代だった2018年の半額以下の価格で同じ性能のメモリを購入できるようになる。
そんな最中見つけた、CFD販売から2枚組32GB・DDR4-3200のOCメモリ「W4U3200CX1-16G」がたったの1.1万円でセールされていた。
しかもヒートシンク付きだ。
ただ、如何せんCFD販売のメモリということで情報が少ない。
エルミタージュ秋葉原ではRyzen7 3700Xで使用したベンチマーク記事はあるものの、もともと3700XはDDR4-3200をサポートしているので、普通に稼働して当然だろうと。
Ryzen7 2700Xは、対応メモリクロックの上限がDDR4-2933だが、マザーボードやメモリとの組み合わせによっては3200MHzや3600MHzのOCメモリでも動作する報告が山程ある。
使用しているマザーボード(ASRock B450 Gaming K4)のメモリサポート情報では、当然のようにマイナーなCFDのメモリ情報は掲載されていない。
XMPプロファイルの読み込みで本当に3200MHzで動作するのか半信半疑だった。それよりも、過去にメモリのOCを試したことがないので、XMPの扱いそのもが初めてだ。
メモリ容量にはそんなに困っていなかったのに、XMPなにそれ楽しそう!という「ロマン」が勝利してしまい、即日購入してしまう。
CFD Gamingの名を冠した、いかにも「オーバークロックに定評のある」気配のする外観だ。
パッケージのピンク色が目に刺さるが、肝心のメモリやヒートシンクはずっしりとしている。派手な海外勢メモリが溢れているなか、このシックな作りはいささか自分好みだ。
ヒートシンクの特徴として、基盤の天面が覆われていないオープントップ型を採用しているため、冷却性能が向上するのだとか。
ヒートシンク付きということで注意したいのが、他のパーツとの位置的な干渉だ。ノコギリ状のヒートシンクがついているので、通常のメモリの比べて高さがある。
メジャーで調べたところ、通常のメモリに比べ6mm出っ張るので、CPUクーラーと当たらないか注意する必要がある。
外観以外で、地味に嬉しかったことはCFDのメモリは「永久保証」であるということ。万が一の不良の場合でも、国内販売元のCFDが保証してくれるのは安心して使える。
今更ではあるが、このメモリを搭載した後の自作PCをのスペックを紹介しておく。
CPU | AMD Ryzen7 2700X |
マザーボード | ASRock B450 Gaming K4 |
メモリ | CFD W4U3200CX1-16G [DDR4 PC4-25600 16GB 2枚組] |
グラフィックボード | Palit GeForce GTX 1080 Super JetStream |
ストレージ | WD Blue SN550シリーズ NVMe M.2 1.0TB |
電源 | Antec NeoECO Gold NE750G |
OS | Windows 10 64-bit (1909) |
このRyzen7 2700XのPCを組み立てた際の「Sandyおじさん卒業」記事が今でも読まれていて、なんだか嬉しい。
ここではメモリ装着からメモリのOCまでサクッと手順を説明する。
まずはマザーボードにメモリを装着後、UEFIでメモリが認識されているか確認した。
16GBのメモリが2本で計32GBを認識しているが、XMPプロファイルを読み込ませていないため、動作クロックが2400MHzとなる。
XMPプロファイルの適用方法は手探り(ちゃんと取説を読みましょう)で行ったが、ASRockの場合はOC TweakerのタブにXMPの文字があったのでわかりやすかった。
Load XMP Settingがデフォルトで「Auto」になっているので、UEFIで認識したメモリ上のXMPプロファイル「XMP 2.0 Profile 1」に変更する。
Load XMP Settingを変更すると、グレーアウトしていたDRAM Frequencyが設定可能となる。デフォルト値はDDR4-2400なので、このOCメモリの定格値「DDR-3200」へと変更した。
この変更を適用し、PCを再起動させる。
さて、DDR4-3200でPCが稼働するか緊張の瞬間であったが、あっさり3200MHzで稼働してしまった。
その後、何度かOC Tweakerでメモリクロックをいじって、「DDR4-3400」でも動作することを確認した。
さらに、その上のメモリクロックである「DDR4-3800」へのOCを試したところ、UEFI自体が起動不能になってしまった。
最終的に「DDR4-3400」設定で落ちついた。
OCしたメモリでPCが動作したからといって、ぬか喜びしていてはいけない。
性能を正しく測ってからこそ、「ロマン投資」が果たして正解か、失敗だったのか、価値が分かるものだ。
今回はメモリクロックを「DDR4-2933」「DDR4-3200」「DDR4-3400」にそれぞれ変化させた場合のベンチマークを実施した。
いま考えると、テストしたメモリクロックはどれもOC後のクロックだ。デフォルトのクロック値である「DDR4-2400」を入れておくべきだったと後悔している。
CINEBENCH R20
CPUパフォーマンス測定の定番である、CINEBENCH R20で測定した。以下はマルチコアでの結果だ。
結果は、ご覧のとおり微増である。DDR-3200はDDR-2933に比べ、5ptスコアが落ちてしまっているが、誤差の範囲だろう。
メモリクロックの違い(DDR4-2933とDDR4-3400)によって、スコアに47ptsのわずかな開きがあるので、多少はOCメモリの効果はあるように感じた。
3DMark
ゲーミング性能ベンチマーク定番の3DMarkで測定した。Fire Strike ExtremeとTime Spyを実行した結果だ。
結果は、ほぼスコアに変化なしという感想。ただリザルト画面から明らかに分かる性能向上が見て取れた。それがCPUスコア(Pysics Score)の大幅な向上だ。
CPUスコアはその名のとおり、プロセッサの性能を測定したものだ。
3DMarkによればCPUテストは「GPUの負荷を最小限に抑えながらCPUにストレスを与え、GPUの性能が制限要因にならないように設計されている」とのこと。
メモリクロックをOCさせたときのCPUスコアが以下のとおり。
Time Spyでは、DDR-2933と3400で比較すると4%向上していて、「メモリOCスゲー」感がしみじみと味わえる。
最終的にはGPU性能の悪さに引きずられちゃって、総合スコアは伸びなかったのが残念。
TMPGEnc Vide Mastering Works 6
私が普段使いしているアプリケーションの中で、最もCPU負荷の高いものが、動画エンコードソフトである「TMPGEnc Vide Mastering Works 6(以下、TVMW6)」だ。
正直、今まで紹介したベンチマークの結果はあくまでもベンチマークの世界。
おっそいノロマなH.265の動画エンコードが捗ってこそ、OCメモリを購入した甲斐があったというもの。
気になる結果は・・・
うーーーん。微増。確かに性能は向上しているけど、長時間の動画エンコードではない限りメリットがないし、これだったらCPUをOCした方が効果がありそう。エンコードにはOCメモリの効果が小さいことが分かった。
あくまでTVMW6に限った話なので、他のオーサリングソフトでは効果があるかもしれない。
まずはRyzen 2700XでCFD製「W4U3200CX1-16G」がDDR4-3200以上のクロックで稼働したことは良かった。また、今までチャレンジしていなかった「メモリのOC」に触れることができた、良い機会となった。
メモリのOCは難しく、危ういイメージがあったけれど、今はXMPプロファイルさえ認識されれば、UEFIで適用してオッケー!というお手軽OCができる時代。同じ値段で定格クロックの高いメモリを入手できる機会があれば積極的に試してみるのが吉では?と感じた。
もちろん、CPUやマザーボードの組み合わせによってはOCできない場合もあるので、マザーボードのメーカーのメモリサポートページや、ネットの口コミはチェックしつつの自己判断にはなるが、最終的な決断はロマンだろう!
あれ、こうやってOC沼にハマっていくのかな・・・